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りそうのせかい改

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あんまり生きたくないとは言ったけど、人生は楽しいよ。

こんなことを書くと、精神的に参ってるひとみたいですが、そんなことはありません。

体調は崩してましたが、気持ちはいきいきしてます。


ちょうど、私がコントローラーをしていた工期の仕事が5~18日までだったんですが、きっちり5~18日まで激しい咳に見舞われ、気管が塞がるのか横になって寝れない日々を過ごしていました…。
縦になって寝るのって滑稽。座った状態で寝てるんですよ、だって!(笑)



デスクでも喋るたびに咳込んでたら、隣の席で業務をしていた我が基地の一番若手のジュウちゃんに
「かわいそぅ……」
と言われる始末。

現場の上司がやってきて雑談で「どや?調子は」と聞かれたのでちょっと意気込んで「はい!先日よりだいぶマシになったんですよ!声も出るようになったし!」と言ったら、斜め向かいの席にいた今回の現場の統括責任者である後輩ミケから
「うそつけ!!!さっきから心配んなるくらい咳してたじゃないっスか!」
と関西人ばりのナイスタイミングで突っ込まれました……。

あ、ぜんぜん私の方見てなかったけど密かに心配してくれてたのね。ありがとう。
なんて思ったけど、声出すのに異常に労力使うから、思っただけで何も言わず。


通りかかる誰かが
「お~沢村、カゼ大丈夫かぁ?」
と私に声を掛ける度にすかさず
「このひとカゼじゃないんで。赤痢なんで。」
と私が瞬時に喋れないのをいいことに好き放題言ってたミケちんなんですけどね。


誰もいなくなった事務所にふたりきりになったとき、ふとタバコの話になりました。

私もミケも喫煙者なのに、なぜか急に「タバコ、止めたらどうですか?」と言い出すミケ。

「え?止めてるよ。いまは。咳で息することすら苦しいもん」
「いや、そうじゃなくて。これを機会に止めたらどーですか?ってはなし」
「止める気はない。治ったらまた吸う。」
「例えば、この1本吸ったら寿命はあと1ヶ月ですけど、ここで止めたら10年寿命が伸びますよ。って言われたら、止めるでしょ?」
「止めない。胡散臭い。好きなことして死ねるならそっちのほうがいい。別に長生きしたくないし」
「胡散臭いって、例え話ですよ、例え話!あり得ないですけど、もしたった1本で10年分寿命が伸びるなら誰だってそうするでしょ、って話」
「しないよ。だって私、別に生きていたくないもの」



……何で、こんな会話をしたんでしょうか。

何であのときミケは、あんな喩え話を出して、必死になったんでしょうね。
そして、頑固な私は、彼の望む答えが解っているのに、何で頑なに否定したんでしょうね。



ことばのあやでも、嘘はつきたくなかったの。
ごめんね。

死にたいわけではないけれど、無理して延命したいほどに、生きたい理由が見付からないのは本当なんだよ。

同じ次元に生きてるように見えるキミと私の、決定的な違いって、たぶんそこだと思う。


現世で、私はあまり執着するものがないんよ。


帰る地元があって、連絡を取れる家族がいて、愛する異性のいるキミと、そのどれも持っていない私とじゃ、ぜんぜん違うってこと。


それを、改めて突き付けられたような気がして。
普段あまり感じないミケとの間に、溝を感じた。




で、今日。



あんなに激しかった咳もおさまり晴れやかな表情の私と、反してマスク付けて鼻をすするミケが手洗い場でばったり。


「あ。」
「…沢村さんのが感染りました。」
「わーい!あたしは治ったよ~」
「完全復活ですね…おめでとうございます」
「早く治して一緒に鍋しよーね」
「はい…ていいつつ、タバコは吸うんですけどね(笑)」
「(笑)、じゃねーよ!止めとけって!海外出張行けなくなるよ!」
「病気だったら行かなくていいんですもん…」



……この頃ミケちんがセンチメンタルだったのは、初の海外出張(言葉の通じない国で、しかも一人きり)をすぐに控えてたからかもしれない。(笑)

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