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りそうのせかい改

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同期とは、トモダチフラグのはじまり ~「マイルノビッチ」(少女まんが)

少女まんが、けっこう読みます。

しかも、アラサーになってから。本当の少女だった時代はまったく読みませんでした。
理由は簡単。お洒落や友情や恋愛に、微塵も興味が無かったから。

きょう、少女まんがの王道ストーリーパターンのひとつである、シンデレラサクセスストーリー系を読みました。
地味少女が、メイクやコンタクトや髪形で変身する、というアレです。
事実はそんな簡単じゃねーよ、ペッと思って基本読まなかった類のあれを、読んでみました。


「マイルノビッチ」 著作:佐藤ざくり

主人公のまいるは女子高生。毒キノコと周りからも避けられて、暗く地味で卑屈でジメジメしたブス子。けど、学園イチの美少年に言われた「ブスを言い訳に使うな」という一言と、男子に落とし穴に落とされたことをきっかけに生まれ変わる決意をして、きれいになって恋をしていく・・・

・・・・という、ある種ありがちなストーリー。
けど、私がこの話の設定でいいな!と思ったところは、その最初に接触した学園の王子と主人公が恋をしないところ。
ふたりは友情を深めていくくけど、あくまでも主人公は別の男子と恋をします。
そして、いろんな人と恋愛をして、恋人になるけど、どの人とも短い!(笑)
イケメン2人に同時に言い寄られて困るシーンとかの描写が、けっこうリアルな心情で書かれていてよかったです。
「まんがとかでこういうシーンよく見たけど、実際なったら全然嬉しくないし、胃が痛くて吐きそう」みたいな感想を主人公が述べてたのが良かった!

まぁ、根暗人生16年だったのに、外見が劇的に変わったとはいえ、超絶卑屈だった子がこんな次々と恋愛できるほど自信もつかなぁ?
とは思いますけどね!(笑)
多少卑屈設定は残っているものの、それよりもけっこう普通の女の子の思考回路にけっこう序盤からなってるしね。
この話読んでて共感したところは、この主人公の卑屈な思考回路でしょうか。


わたしは、昔から人前では結構、自信家で弱みを絶対見せないサバサバ女子、を気取っていて、特に異性の前では割と強気で攻める姿勢とセリフを言う方なんで、同じ見た目ブスでもこの物語の主人公とはけっこう違うタイプです。
よくかまってくる男の子には「何?私の事好きなの?」とか言っちゃう方だし、「好きって言ったらどうする?」って返されたら照れたり一切せずにムスッとした顔で「断る。あんたみたいな子タイプじゃないし」ってあしらってしまいます。
「たいしてかわいくも無いくせに、何でそんな自信?!」みたいに思われているかもしれません。(笑)
でも、内心は結構いつでも卑屈な思考回路です。


マイルノビッチの主人公・まいるも、「こんな私のことなんか好きになってくれるわけないじゃん~」とか「調子に乗ってスミマセン!」とかよく考えているんですが、私がこの子と圧倒的に違うところは、自分を貶めた卑屈じゃなく、相手を信用していない卑屈であるということ。

まいるは、一度は心中で卑屈的に相手を疑っても、それを声に出して本人に言ったりしていない。
ちゃんと全員と向き合っているし、短くてもちゃんと全員お付き合いして相手を見てから結論を出している。
そこが、わたしと違って物語のヒロインとして成立する「女子が憧れる女の子」であるゆえんの「純真でマジメな少女」の要素を持って居る。


わたしの場合はこう。
こういう、私みたいにたいしてかわいくもないオンナに言い寄ってくる男は3種類しかいないと思っているから。
1つは、女と見れば誰にでも声かける、真正の女たらしタイプ。
もう一つは、落としやすそうなちょいブスに声かけてヤれたらいいと思っているタイプ。
最後は、本当に好きなひとに振り向いてもらえないから、代わりになりそうな人を探しているタイプ。

この3パターン以外は絶対にありえない。

そう、喩えば、本当に私の事を好きになったから近付いてきた、みたいな。
そういう方向で考えたことは一度もないし、そもそもそういう考え自体が思い浮かばない。

だから、今まで付き合った人もみなこのどれかだと当てはめていた。
セックスさえできれば満足なんでしょ。
その子の代わりにはなれないよ。
1回ヤれば、飽きて離れてくれるかな。

そんなことを思ってた。

でも、そんなことしてても不毛だし、何より面倒臭いな、と思って、24の時、恋愛自体を放棄した。

それからは、ちょっと言い寄って来たら速攻で門前払い。
告白される前に先手を打って「そんなに毎日連絡して来て、私の事好きなの? わたし、あんたと付き合う気はないよ」と言ってきた。
相手の本当の気持ちなんて、考えなかった。
どうせ、からかってるんだろう、とか、誰かの代わりにしてるんだったらこれで目が覚めるだろう、と思っていたから。

「もし、俺が沢村さんのこと好きだって言ったら、どうしますか?」
この、控えめなセリフを言わせたのは、わたしの態度の所為だ。
このセリフの裏に恋心が潜んでいる可能性なんて、考えたことも無かった。
彼が、どんなに勇気を出して私の家に来たかなんて、考えたことも無かった。



会社の通用門まで迎えに来ていた子も居た。
相談にかこつけて駅で呼び止められて、連絡先を聞かれた。
外でわざとカップルみたいに振る舞ってた彼。
そして最後、妹にするみたいに私の頭を撫でた。4つも年下なのに。


宴会の時、酔った勢いのままみんなの前で「これ飲めたら、僕と付き合ってください!」と言って逃げても逃げても隣の席を確保してこようとした子がいた。
「このあと、ふたりで抜けましょう」「僕の事、遊び人だと思ってるでしょ。確かめてくれたらいいですよ、童貞なんで」などと耳元でずっと言ってくるから、説教したおしてタクシー拾って逃げ帰った。
次の日から彼は、気まずそうにして私とあまりしゃべらなくなった。
たぶん、あのときの彼は、23歳くらいだったと思う。


まだまだ、いっぱいある。
25歳から去年までの6年間、いろんなことがあった。
でも私は誰とも付き合わなかったし、誰とも正面から向き合わなかった。
そういう、気配や空気から、するりするりと、すり抜けて来た。





・・・・・・この人たちがぜんぶ、本気でわたしの事を恋心で見ていたかなんて判らないし、本当に全員、わたしの予想通りの本気じゃないパターンだったのかもしれない。

いまは過ぎたこと。
もう、どうだっていい。
でも、もし本気のセリフだったとしたら、けっこうな数の人を傷付けた。
本気で向き合うこともせず、邪心とみなして蹴散らして笑い飛ばしたり、時には年上の権力で説教までした。

ひとをすきになるって、そういうんじゃ無いでしょ。舐めてるの?


わたしはそう彼らに言ってきた。
言ってきたけど。

違うでしょ。



人を好きになるのって、理屈じゃないんだよ。
何でか、落ちてしまうもんなんだよ。

今考えれば、彼らが私に惚れる要素って、けっこうあったはず。
だって私は、年下だった彼らに親切だった。
仕事が一緒でなくても、調子が悪そうだと必ず声を掛けてた。
それが、ハタチそこそこのとき。みんな、若かった。
それに、比較出来るような女の子が周りに居なかった。

あの時の彼らは、彼らなりに、本気だったかもしれない。



「オネェ、頼まれてたやつ、みんなに連絡しといたけど。明日でいいの?」

オネェ、って。呼び方雑になったな・・・。ってかあたし、あんたの姉じゃないしタメ口だし。
あの時23歳だった彼も、もう28だ。まだ独身だし、女の影も無い。
「はぁ?! あしたじゃねぇよ、昨日だよ! もう期日過ぎてんだよ、早く寄越せ!」
「え?マジ。でも明日ってみんなに言っちゃった。明日まで待ってよ」
「うー、わかった判った。じゃあ明日ね」

業務連絡だけして去って行く彼の後ろ姿に、あ、とわたしは慌てて声を掛ける。

「ナノ! 手伝ってくれてありがとね!」

ナノは振り向かずに、「ん、」と言って軽く右手を上げた。




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