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現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。

恋の話をしようか。

日曜日のがらんどうの居酒屋で、30女と28男のひと組の客が喋る。

「で。気付いたら朝になってたってわけですか?」
「違う。すぐ起きたの。エッチはしてないから」
「でも朝まで一緒に寝たんでしょ?」
「まぁ、そーゆうことになるな」
「そりゃあなたが悪いですよ。どこを取っても勘違いさせる要素出してんのアナタですからね」
「やっぱそう?」
「ハイ」
「あーそうさ!あたしが全面的に悪いよ!悪いのはぜんぶあたし!これで満足か?」
「だって沢村さんが悪いでしょ。どう考えても」
「・・・そーだね。」
「中々面白いコトしてますね」
「面白くねーよ!笑うな!」
「沢村さんって、ズレてますね」
「でもたぶん、あたしだって彼のこと、ちょっと好きだったんよ。じゃないと流石に一緒にいないっしょ。」
「そーですねぇ」
「お前のことだってすきだよ」
「すきって言われたら嬉しいですね、やっぱり」
「やろ?」
「ってことに、最近気付きました」
「ん?」
「・・・すきな女の子に、すきって言われたんです」
「おお?!やったやん!」
「でも、フラれたんすよ。遠距離レンアイは出来ないって」
「あー・・・。もっと積極的になれよ。お前は押しが弱いんや」
「積極的に頑張りましたよ!手だって繋いだし、一緒に公園散歩したりして、いい年こいてブランコ乗ったりしたんすよ!」
「判るわー、その気持ち。青春だねぇ」
「もう29ですケドね」
「ま、あたしは全ての手順をぶっ飛ばしたけどね」
「そして何も得ないっていう」
「そうそう。でもね、あたしは手を繋ぐのは一番最後に取っておきたいの。キスやセックスよりも後に」
「ふつう逆ですよね」
「だって、セックスなんて金払えばお店で出来ちゃうわけでしょ。性欲さえあれば誰とでも出来るわけよ。唇だけは守る嬢もいるけど、キスだってオプション料金払えば出来ちゃうわけだし」
「まぁ、そーですね」
「でも、手を繋ごうとは思わないでしょ?」
「・・・そー言われてみれば、そうかも。」
「ほら。だって、目は口ほどに語る、って言うけど、手はもっと気持ちを語ってしまうもんだと思うワケ。体温だって伝わるし、少し緊張して汗ばんだ手、優しく握った握力、ふいにビクッとして力がこもった瞬間。そーゆう機微が、ぜんぶ伝わるんよ?」
「・・・やっぱり沢村さんって、ズレてますよ」
「うん、知ってる。でも、そーいうお前だってあたしのことも、すきなんやろ」
「・・・は?」
「じゃあ嫌いなわけ?」
「キライじゃないですけど・・・」
「じゃあやっぱりすきなんだよ。じゃないと、何年も一緒にいないっしょ」
「それは、そうですね」
「で。四国、いつ行こうか」
「いつでもいいっすよ」
「日帰り?」
「どっちでも。休み合わせますよ」
「彼女、もうちっと押せば落ちると思うんだけどなー。頑張れよ」
「そー思います?」
「男は多少強引なくらいでちょうどいいんだって!」
「あの子はアナタとはだいぶタイプが違います」
「そりゃそーや。でもすきなんやろ?このまま平行線辿っててええんか?もっと頑張れよ」
「・・・そのほうが、後悔しないかもしれませんね。当たって砕ければ、踏ん切りがつくのかもしれません」
「そーだそーだ!」
「そうですね・・・!」
「喩えばいまあたしがアンタに口説かれたら、ひとまず面食らって断るかもしんないけど、絶対心動かされるから!だって、そーいう出来事が起きたら、相手のこと真面目に考えてみる機会が生まれるわけだかんね」
「そうですね!オレ、頑張ります!!」

嵐のような5月が過ぎ去り。
梅雨になった。

これは、日常に戻った証拠だ。
でも、ちょっとだけ、こころが近付いたのかもしんない。
ゆるやかに、ゆるやかに。

奇妙な腐れ縁と信頼関係で結ばれた、ちぐはぐすぎるふたりの、ある夜の会話。















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