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りそうのせかい改

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ミンドゥルレ   第1話 エンドウ タダシ

 吐き捨てた砂利交じりの唾は、赤が混じっていた。
 気付いているのかいないのか、シュはそのまま振り返りもせず路地を出る。路地を出て商店街に入ると、通り過ぎる人みんなが俺たちを振り返った。チラチラと、ちょっとだけ目を遣って、合さないようにすぐ逸らす。赤髪のシャケは頭上で腕を組んで、ヒューウ、と小さく口笛を鳴らした。コイツは目立つのがすきなだけだかんな。でもたぶん、通行人が振り返る理由はその髪じゃないと思う。隣のシュを見上げる。
「汚ったねぇツラ」
 思わず噴き出した。で、バンバンとヤツの肩を叩く。
「お前、どーやったらそんなにツラ崩せんだよ」
 無言で顔を顰めるシュ。目の上の腫れたコブが紫色に変色し、そこから切れて流れた血が左目の周りを縁取っていて妖怪みたいになっている。おまけに口も右端が切れて朱く滲んだ唾液が横に伸びて。
「これでちったぁ男前になったやろ」
「見れた顔ちゃうわ。男前ってそーゆう意味、」
「ももも元々、崩れたツラし、してんやからら、か、かかまへん」
「エンドウならまだしも、シャケに云われたないわ」
「シャ、シャケとちゃう云うてるやろ、」
「うっせー。何がレッドドラゴンや。中二臭ぇ。お前なんかシャケで充分」




「汚ぇツラ」

「お前、喧嘩屋向いてへんわ」
「せせやかて、淀トンの奴らがに、ににに人数集めてけぇへんかったら」
「黙れ部外者。この部屋に住む以上、ある程度稼いでくんのがスジなんや」

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