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りそうのせかい改

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姫武将ものにハマりました。『花修羅』『ぼんたん!!』(漫画)

何故か急に、姫武将ものにハマりまして。
(元々、時代劇系統はすきなんですけどね。チャンバラよりは主に人情ものに)
先月・1月の内に読んだもの2つの記録と紹介をここに。(ちょいネタバレ含みます)




「戦国美姫伝 花修羅」(カシュラ)
著作:山田圭子

戦国時代、“北の京”と呼ばれ、栄華を誇る越前雪代谷の姫・六花は、琥珀という忍と出会う。そして2人の出会いは戦国の世を動かすことに…!?

全8巻。長すぎず短すぎず、ちょうどよい長さで完結していて読み応え感たっぷり、満足な少女漫画でした。
初登場時の1巻で六花姫は10才くらい、お付きの忍び・琥珀は12才くらいの設定だったと思いますが、3巻くらいで六花15才、琥珀17才くらいに成長していたと思います。
このお話は架空の戦国の姫武将の物語ですが、実際に戦国時代には「姫武将」であった戦の大将の女性が何人も記録に残っていますし、この六花姫も彼女たちをモデルにして描かれているんだろうなぁ・・・と勝手に思いながら読んでいました。

主人公の六花姫は初期の段階で姫じゃなくなり、一旦故郷を離れて旅に出ます。旅先で庶民以下の暮らしや苦労を体験し、成長してから地元に戻ってきて武将になるのです。
放浪時代に織田信長による比叡山の焼き払いに巻き込まれたり、その後武将になってから実際に信長に会ったりもして、史実もちょくちょく挟みながら物語は展開していきます。
少女漫画ですが、六花ちゃんが元々わんぱく過ぎて(お転婆、なんて可愛いもんじゃない。)中盤超えるまで恋愛要素はほぼゼロです。
ヒーロー的立ち位置の異人さんとの混血の少年乱波・琥珀くんの一方的な片想いでずっと続きます。
そして少女漫画お決まりの唇奪われるシーン(キスと言え。)が結構後半にあるのですが、「女」ではなく「武将」として生きている六花は屈辱を受けた様に感じてしまい、怒るのです。
「お前はいま私のことをその辺の女と同じように扱った!」と。
琥珀はすぐに「悪かった。もうしない」と猛反省しますが、そこがちょっと悲しいですね。
でもこのシーン、「あ。これ、なんかすごく判るな。ウン。」と、思ってしまいました。私。
私は戦国時代じゃないですけど、男社会に生きていて、重い荷物を運んだりしている時に仲間(しかも後輩とか)に「持ってあげようか?」的な態度取られたら「一人前扱いされてない!」「バカにされた!」と感じてしまうのですよ。勿論、相手にはそんな悪意はなく善意で言ってくれていることは重々承知なんですけどね。そのあたりの心情に重ね合わせて、ちょっと共感。(笑)

最後は幸せな気持ちにはなれる物語でしたが、多くの犠牲の上にみんなの平穏が成り立っていることが目を逸らさずに描かれていて、結構ツライシーンも多い物語でした。
戦国モノなんでそれで当然だとは思いますが。
個人的に物悲しくかっこよかったヒーロー(ヒロイン)は、乱波のユリ。
琥珀の仲間で腕の立ちそうなまだ幼いくノ一の少女でしたが、死に様が凄まじかったのですよ・・・。
負け戦と判って囮にされた殿戦の最後の夜、彼女は想いを寄せてた琥珀の寝床に逢引きに行くのですが、昔の思い出からあまり仲間を信用できなくなってしまっていた琥珀はそれを拒絶。微妙な空気のまま別れて翌日は勝ち目のほぼない殿戦へ。戦中、負傷した彼女の手を引き離さないという琥珀に、彼のお荷物になりたくないユリは自分でその腕を切り落として彼の背中を押すのです。「きのう言ったことは本当だよ。信じてね」と言い残して・・・。
切なくて、悲しくて。でも、物凄く潔くてかっこよかった!!
こんな戦い方がよくないことはのちに乱波仲間でも議論されている様子が描写されていて、物語の展開的にはとても重要で必要なシーンでした。

個人的に、時代劇もの戦的シーンで好きなのはサムライよりは乱波(忍者)の方が好きな人間なので、両方の戦闘シーンが平等に出てきているのは有り難かったです。

この物語の主人公・六花は「武将」という立ち位置でその役割は一切妥協せず・崩さず、でもいわゆる男装などをするでもなく素性も明かしたまま「女性の武将である」という前提で物語が進んでいるお話でした。
この時代は男女の差よりも身分の差の方が重んじられていたでしょうから、「〇〇城の姫である」という事実があった方が上に登れたんだろう、武芸に長けていれば大将になることも、それは割とありなんだろうな、と思いました。

姫武将×乱波(忍者) という組み合わせに魅力を感じた方は、ぜひオススメ!




「姫武将政宗伝 ぼんたん!!」 
著作:阿部川キネコ 
時は戦国。奥州・伊達家では、長子の梵天丸がすくすくと育っていた。だが伊達家には、近隣諸国に聞かせられない秘密があって……。なんと梵天丸は女の子だったのだ!

こちらは全5巻。主人公は伊達政宗。史実の人物のパロディモノ?!です。
ギャグテイスト満載、でも戦国モノなので戦いのシーンはシリアスです。

梵天丸が女の子なのに男と偽らなければならなかった理由や経緯などが、わりと納得いく解釈で書かれていて面白いです。
そしてこちらの姫もちっちゃいころからわんぱく!そして、エロ小僧!!(笑)
女だけど女たらしで、嫁にきた愛(めご)姫とけっこういちゃいちゃ・ちゅっちゅしていて面白いです。
でもビアンな方という描写ではなく、人とのスキンシップを取るのが好きということで、男にもちゅっちゅして気味悪がられてたり。(笑)
伊達政宗さんは高齢まで生きられた方なので、最終巻はまだ二十歳とちょっとくらい、まだまだ人生の序盤、といったところで終わりますが、面白く読めて良かったです。

名前は有名なお方なのでうっすらとは知っていましたが、今回をきっかけに伊達政宗を知れてよかったですし、今度はふつうの伊達政宗の物語もどっかで探してみてみたいと思いました。
映画でも漫画でもなんでもいいので。


こちらはタイトルに「姫武将」と書かれていますが、作中は女性であることを隠して武将をやっている設定なので、正確には「姫武将」ではない気がします。ふつうに男として生きている、という設定なので。




emoji


姫武将、と言えば木曽義仲の妻「巴御前」ですが、小学校の時に教科書で知った平家物語(でしたけ?)の巴御前の戦闘シーンの描写はめっちゃかっこよくて、すごく頭に残っています。

また、史実の姫武将をモデルにした物語などあれば読みたいですw

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年相応に見られたくて

年相応に見られたくて、主に服装を変えてみると言う点で努力してきました。
ここ、2~3年。


……何の話かと言うと、私、昔から若く(幼く)見られる方なんですけど、実年齢より若く見られることが嬉しくない人なんです。


なんというか、若造に舐められなくない、みたいな。(←この思考回路がもうすでに大人げない。だからガキに見られるんだ。(笑))
先週も2こ下の男の子に「大学生?」って聞かれるし、先日は大学生の女の子に「働いてはるってことは25歳くらいですか?」って聞かれましたが・・・・・・・・・今年本厄33歳の31ですけど?みたいな(笑)


で、女性なんだから見た目年齢一番左右出来るメイクの仕方で大人女子を目指したらえーやん!…て話しなんですが、一時期試みてはみましたが慣れない化粧にすぐ挫折。その反動(?)でドすっぴんに逆戻り。(前はかろうじて化粧水のあとに化粧下地の日焼け止め&チークくらいは塗ってたけど今は化粧水ですら面倒・・・)


で、次に見た目から変われるであろう方法が、大人女子な服装。


てわけで、家にあった若者っほい(ガキっほいとも言う)服を全てフリマやリサイクルショップに売り捌き、雑誌などを参考に(でも微妙にやる気がないから雑誌購入には至っていない)自分の考えうる範疇で好みのテイストの大人女子ワードローブをいくつか購入してみました。


 


………


 


疲れました。


 


何に疲れたかって、実際よくわかんないんですけど、たぶん、実はあまりそういう恰好は自分の好みではなかったんでしょうね。無理してたんでしょうね。微妙なストレスが蓄積していってたのでしょう。
好きじゃない服ばかり着なければならない、というストレス。
たぶんそれに、疲れたんだと思います。


実際、TPOを考えると、買って損は無かったですし、社交場的な場所に行く機会だって年齢とともに増えてはいるのでいざという時に頭を悩ませることなく着れる服を持っているというのは便利です。
「このジャケット買っててよかった!」とか「このトレンチ持っててよかった!」とか思います。

でも、普段着にそれは厭なのです。

通勤着と普段着を分けたいという感覚とは別で(むしろ最近は通勤着を割と崩している所為で普段も通勤時も毎日全くおんなじ変わり映えの無い恰好をしているという・・・バイク乗ってないときですら通勤着にしてる皮パンツ履きっぱなし・・・)。

カチッ、キチッ、とした雰囲気の服装がスキなひとは普段もそれで全然いいと思いますが、私はやっぱりちょいルーズな服装が好きみたいです。

これは、秋の大片付け祭りで極限まで持っている服を減らしたからこそ、改めて判った事実です。
両方のテイストの服をおんなじくらい持ってしまっていたら、きっと気付けなかったと思います。だって、もし実際に片方の服を着用していなくても、所有している・いつか着ることができる・という満足感でぼやかされて、ほんとうの気持ちには気付けなかったような気がするから。


せっかく極限まで服減らしたけど、今度はとっておきのお気に入り普段着探しにまた買い物行こーかな。



※余談・・・大人っぽくなりたいなら、言葉遣いや立ち振舞いを改善すれば見た目より効果ありそうですが、習得までに時間が掛かりすぎるので敢えなく断念したのでした。←やる気あんのか?


 

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うろんな神様 : 期末試験篇

「お前、高橋ひとみと仲ええん、」
 突然松浦が口を開いた。五限目の終わり、十分間の休憩時間に。
「は、高橋。喋ったことも無いけど。何で、」
「いや、さっきの昼休みに位登のことについていろいろ聞かれたから」
「いろいろって何よ」
「放課後何やってるとか、家はどの辺に住んでるんとか、そーゆーこと」
 なんだそれ。
 そんなこと聞いてどうする気だ。
 俺はふと目線だけ動かして教室の中を見渡した。居た。廊下側、一番端の列の前から二番目。席に座って、隣に立つ女子二人と喋っている。肩にかかる黒い髪が、毛先だけ少し外側に跳ねている。二重の奥の眸は小さいけど黒目がちで、友人の話に相槌を打ってくるくると回るその様子を見てると小動物を連想させた。決して美人ではないけれど、別に不美人というわけでもない。月並みな子だ。目立たず、大人しすぎることも無く、ふつうだ。
「おい、位登」
「なんやねん」
「悪くないな、とか思ったんやろ」
「ハァッ、」
「ちょ、声大っきいって」
 つい声を荒げてしまった。別にそんなことまで思ってない。
 松浦は慌てて俺の口を押えるジェスチャーをして、廊下側前方の女子たちを盗み見る。別にこちらを気にした様子はない。ほっとした顔をすると同時に、ニヤリと口の端を持ち上げた。あくどい顔だ。
「ええってええって。でも、位登は何とも思ってへんかったかも知れんけど、高橋はお前のこと好きなんかも知れんなー」
「それは無いやろ。今まで喋ったことも無いのに」
「判らへんで。よぉ知らへん相手のことが気になるんが恋っちゅうヤツや」
 知った風な口を利きやがる。
「今年で卒業やし、そろそろ告白とかされるかもなぁ。なぁ、なんて答えるん、」
「まだ俺が好きやと決まった訳やないやろ」
「例えばやって、例えば。可能性は限りなく高いんやから、心の準備はしといた方がええやろ。で、なんて答えるん」
「阿呆らし」
 松浦の戯言には付き合ってられん。マトモに相手してやる必要はないな。
 だって今年卒業なんだ。みんな進路の悩みや受験勉強に精一杯で、そんなホントかどうかも判らない恋愛話に思考を割いてる暇なんて無いだろ。
 そう。進路以前にもうすぐ期末テストなんだ。高橋のことを気にかけてる暇があったら、英単語をひとつでも多く覚えた方がよっぽど建設的だ。
「位登くん、明日の放課後、ヒマ、」
 翌週。高橋ひとみに声を掛けられた。
 別に何もないけど、答えに詰まる。
 松浦にからかわれた時のことが思い出される。そろそろ告白とかされるかもなぁ。確かそんな事を、言ってたっけ。
「暇やんな、帰宅部なんやし」
「園芸部やけど」
「要するに帰宅部やん。位登くんが花なんかいじるわけないし」
 なんか知らんが決めつけられた。
 高橋は俺に何かしらのイメージを持っているらしい。少なくとも、部活動になんて興味なくって、花なんかを愛でる趣味もない男、と思われているようだ。
「で。明日何かあんの。何か用、」
 俺はどう思ってるんだろう。こうして声を掛けられるまで、いや、先週松浦に話題を振られるまで、気にしたこともないクラスメイトだった。名前を聞けば心当たりはあるものの、所属している部活も、委員会も、仲のいい友人も、全く知らない。けどこの一週間で自然に覚えてしまった。彼女は陸上部所属で、学級委員の副委員長で、結構友人の幅は広いこと。気になって調べたわけでも何でもない。ただ高橋という存在を認識したことにより、自然に判ってしまった情報というだけだ。
「用っていうかさ……」
 高橋は言いにくそうに一旦眼を逸らした。
「ホラ、もうすぐ期末試験やん。明日から部活も試験休みに入るし」
「うん」
「だから……勉強しに家行ってもええかな」
「……家ッ、」
 いきなり。いきなり家か。
 予想外の発言に完全に面喰った。
 何だ、この発言の意味するものは。まだ好きかどうかすら疑わしかったのに、告白とか通り越していきなり家に押し掛けるとは。勇気あるな、高橋。最早他人事のように感心するぜ。
 押し掛けられてる当事者は俺なんだけど。
「別にええけど、俺より高橋の方が成績ええんとちゃう。一緒に勉強するメリットなんか無いやろ」
 そもそも俺の成績はよく見積もっても中の下。みんなに頼りにされてそうな学級委員会に入っている高橋はもっと成績が良さそうなものだ。
「いや、みんなで勉強した方が捗るし、教え合えるかなーと思って」
 ん。
 何か引っかかる。
 ハナからふたりでするつもりではないようだ。誰か友人も連れて来るということだろうか。まぁそれは至極自然な流れではあるが、まともに喋ったことも無いような男の家に来ようとしている健全な女子中学生が、何の下心もなく当然のように友人を呼んでみんなでお勉強会、なんてこと有り得るだろうか。
「みんなで、」
「うん、みんなで」
 あれれ。これは、もしかして。
 やっと判った。俺は自分の間抜け加減に嫌気がさした。ちょっと考えればすぐ判ったことなのかもしれない。
 居るだろ、ひとり。
 わざわざ誘わなくてもウチに来ればごくごく自然に一緒に勉強する流れになるであろう秀才の同級生が。
「……お前、枡に気ィあるん」
 急に高橋は慌てた様子になって苦し紛れの言い訳を喋り始めた。



 夕飯はカレーライスだった。
 昨日もカレーライスだったし、その前もカレーライスだった。もう三日目だ。でも文句は言えない。食わして貰えるだけありがたいと思え、と返されるのがオチだ。そんなことは判っている。
「母ちゃん、明日友達連れて来てもええか」
 対面に座る月子さんは、え、と発して顔を上げた。スプーンを動かす手が止まっている。
「別にええけど、珍しいな。中学入ってから滅多に友達なんか家に呼ばへんかったのに」
「もうすぐ期末やから、試験勉強したいんやと」
「ほぅ。そりゃええこっちゃ。ゼンタ、あんたあんま成績よくないんやからよう教えて貰い」
「何で俺が教えて貰うこと前提やねん」
 自分の客じゃないと判ると、女の子が家に来るという微妙に気まずい状況であっても心持ち親の承諾も取りやすい。
「お前も明日から部活休みやから早く帰ってくるよな、キヨシ」
「え」
 急に話を振られて、隣に座る枡は怪訝な顔をした。
「俺も一緒にやる予定なん、それ」
「おう。寧ろお前が居らへんと意味ないっちゅーか」
「何やそれ。俺、教えんの得意ちゃうで」
「なんでお前も上からやねんっ」
 枡は涼し気な顔をしてカレーを口に運んでいる。呑気なもんだ。俺は一週間、お前の所為で要らぬ妄想とプチ脳内シミュレーションを繰り返したというのに。もやもやと、悪戯心がくすぐられ出す。そんなすました顔してられるのも今の内やぞ。
「で、誰が来るん。松浦か」
 あの苔頭が勉強なんかしに来るわけないやろ。見当違いも甚だしい。
 男やあらへん、高橋ひとみや。
 そうニヤケた面で言ってやろうとして、思い留まった。いくら仏頂面で普段何考えてるか判んない枡でも、月子さんの前でバラされるのは流石に気まずいだろう。
 この話題は、夕飯が終わってからにしよう。夕飯が終わって、月子さんが風呂に入ってる間に。
「お前、高橋ひとみと仲ええん」
 どっかで聞いた科白だな、と自分で言ってから思った。
 計画通り、月子さんが風呂に入ったのを見計らって、俺と枡が一緒に使ってる自室に戻ってから切り出す。
 は、高橋。喋ったことも無いけど。何で。
 そんな言葉が返ってくるのかな、と思って待っていると意外な答えが返って来た。
「部活んときけっこう喋る」
「ナンだソレッ」
 予想外だ。結構喋るんなら何でわざわざ全く喋ったことも無い俺を仲介役にしようとしたんだ。
「陸上部は野球部の隣で活動してるし、俺はマネージャーやからベンチ付近にいるしな」
「いや、そーいうことを聞いてる訳やなくて……」
 だったら何で直接誘わないんだ、高橋のヤツ。
 黙った俺を見て、枡が口を開く。
「高橋さんか、明日ウチに来る友達ってのは」
「あ、うん」
「なるほどな。友達っちゅーのは女子か。だからさっき月子さんの前では答えへんかったんやな」
「まぁそれはそうやけど、俺は高橋とは別に……」
 今度は枡が黙った。じっと俺の顔を見たまま。眉間に皺が寄るでもなく口がへの字に曲がるでもなく、ただじっと、ぼうっと俺の顔を眺めてから開口する。
「俺のことなんか気にせんとふたりで勉強したらええやん」
「そうじゃねぇッ。高橋はお前と一緒にしたがっとんねん」
「何や、そう言われたんか、」
「言われてねーけど。そこは判れよ」
「無理言うなや。けど、高橋さんは俺の話題を出したんやな」
「せや」
「俺と喋ってる時は、お前の話をしたことは無い」
「……へ、」
 間抜けな返答になる。どういうことだ。元はと言えば俺が勘付いて言わせたわけだが、俺と話した時には枡の話題が出て、枡と普段喋っている時には俺の話題が出ない。兄弟でも従兄弟でもないのに一緒の家に同居してることは学校では周知の事実であって、話題にされやすいネタのはずなのに。これは、何を意味する。
 枡清志は暫し静かに考え込んだ。
「そういうことか」
「なにが」
 奴はいつも通り涼しい顔をしている。
「まぁ、高橋さんなりに気ィ使ったんちゃう。俺とゼンタは一緒に住んでるわけやから、家来て鉢合わせする前にお前にも家行くっていう承諾を取っておきたかったんやろ」
 そういうもんか。そういう、もんかいな。
 俺も、たぶん恐らく枡も、そんな家族構成のことなんか気にする質ではないけど、周りの他人から見たら多少気を遣わせるってことなんだろうか。それとも単に、色恋沙汰で同居のクラスメイトに邪険にされたり不審に思われたりはたまた騒ぎ立てられたりする前に、懐柔しておこうっていうしたたかな作戦だろうか。
 高橋さんはごく普通の女の子に見えたけれど、どっちかというと後者なのかもしれない、とふと思った。
 いや、それよりも。恐ろしいのはコイツだ。
 何でだ。ふつう健全な男子中学生なら、もっと気まずそうにしたり照れたり何故か逆切れしたりしてもいいような話題だろ、コレ。だって、クラスメイトの女子が家に来るんやぞ。それもほぼ百パーセントお前のことが気になってる女子が来るって、家族から言われてるんやぞ。俺がもし逆の立場やったら、恥ずかしくて顔から火ィ噴くわ。
 しかし枡は動じた様子もない。俺は目の前で何事もなかったような顔をしてベッドに腰掛ける弟分を見下ろし、溜め息を吐いた。
「失敬なヤツ、ひとの顔見て溜め息つくなや」
「……俺はそーやって何でも冷静に分析してしまえるお前の将来が不安やわ」
「三年なっても遊んでばっかのお前から将来の心配をされるとは思わんかったわ」
 このクソ減らず口め。




久々の小説的文章です。
最近、年食ってしまって少年たちの心理の理解から遠のいてしまっているのではないか? これはマズイ! ・・・と思うことがちょくちょくありましたので、少年視点での一コマ。

これは、いつか書こうと思っている青春日常記なおはなし。
中学3年、将来のこと、進路について模索する少年たちを、いろんな形の家族の在り方と距離感を違和感なく受け入れている思春期真っ只中の2人の少年を主軸に置いて描けたら・・・と思っています。
いつになることやら、ですが。
とりあえず、情熱があるうちにワンシーンだけ書いてみました。


《登場人物》
*位登 然太(イトウゼンタ):15歳、中3。園芸部所属のプチ不良。枡とは同居するまで特に喋ったことも無かった。
*枡 清志(マスキヨシ):14歳、中3。野球部マネジ。1年前から位登家で暮らしている。
*位登 月子(イトウツキコ):ゼンタの母親。子育ては放任主義。

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ファースト・キス

皆さん、初キッスのときのことは覚えていますか?

少女漫画で定番の初キッスを奪われる(なんで同意じゃないパターンが多いんだろう・・・)シーンを読んでて、ふと思ったんですけど・・・。


私、ファーストキスの年齢も相手も状況も、全く覚えていません!!!


え? こんなことって有り得る?!
自分でもびっくりして一生懸命思い出そうとしましたが、全く思い出せず・・・。


思い出せないってことは、よほど厭な思い出と脳が認識して、記憶を抹殺しているんでしょうか??
そうだとしたら、無理して思い出そうとするのも何だか恐いですね・・・・・


判ってることと言えば、相手は私がすきだった人ではなかったこと、恋人関係になかった人であること、ってことでしょうか・・・。


正直、高校時代から男友達は割といたし、何とも思ってない相手からいきなりチューされた経験も多いから、そういうことに拘らない人種になってしまったというか・・・気にしないようになってしまったんですよね。

基本、年下の男の子とばかりいたので、たぶん説教して終わったんだろうな・・・
「そういうことは、その場の勢いとかでやるもんじゃない!好きになった相手とやれ!」
とか言ってそう。 ←自分のことなのに予測でモノ言ってます。(笑)

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意志薄弱の克服法 │ 20年目。

つくづく自分がダメなヤツだな。と思うこととして真っ先に思い浮かぶことは「意志の弱さ」であります。



【意志】い・し
▽[哲]理性による思慮・選択を決心して実行する能力。知識・感情と対立するものとされ、併せて知・情・意という。
▽[心]ある行動をとることを決意し、かつそれを生起させ、持続させる心的機能。
▽物事をなしとげようとする、積極的な志。



広辞苑にもこのように書かれてますが、まさに私は意志薄弱体質です!

新年早々から、もう躓いてます。躓きまくってます。


年賀状は年内に出せなかったし、大晦日からのカウントダウンライブは行きそびれるし、せっかく1月3日に休みがあったのに初詣には行きそびれるし(3日までに行けば寺院での催しものが多い。)、挙げ句の果てに来週始めにある再審査の勉強が全くもって計画通りに進められていません……

意志弱っ!!!!!


基本的に、学生時代から自分で計画した予定を守り切れるタイプの人間ではなかったし、高校までは学校も好きな時間に行って好きな授業だけ受けてたような自由人(はっきり言って軽く不良の属性?)だったため、何か期限を守る、というのが極端に苦手なのです。



去年のことを思い返してみて、何か成し遂げたことはなかったか? …と考えると、
……あらら?
意外といくつかは思い当たります。


◎里親認定取得のための研修への持続参加
◎芝居の公演
◎そうさく畑への出店(のために1本作品を完成させる)
◎9年ぶりの小説の投稿(2件)
◎13年間悩まされてきた部屋の大片付け祭りの開催&に伴う不要品処分のためのフリマ出店


なかなかだ。
なかなかやってるぞ、30さいの自分。(笑)


そんな成し遂げた中にも、プチ妥協があったり、予定通りではなくギリギリだったりはしましたが、ゴール地点にはなんとか到達していますね…。


これらに共通していて、逆にいま出来ていない項目に共通しているものは何か?と考えてみると、成功したものは「誰かと一緒に取り組んだこと」か「誰かに宣言したこと」になります。

失敗してることは、やっぱり「自分ひとりの予定」や「心の中のみで計画していたこと」が多い様子…。



だいぶ昔に、何かの記事で読んだもので、こんな感じのコメントがありました。

少年ジャンプの「NARUTO」の主人公・うずまきナルトは落ちこぼれ忍者だが、夢はでっかく火影になる!と周囲に吹聴して回っている。
実力から程遠く、笑われることを見越してでも声に出して宣言することで、意志が固まり、弱い自分を克服し、夢への一歩が近付くのだ。

これを読んだとき、妙に納得したものです。
口に出したからと言って成れるものではないし、実力が急に付くわけではない。
でも、口に出したことによって後に引けなくなり、それまで以上に努力はするだろう。
その努力と宣言した姿は、誰かに見られているわけで、そういったことが自分の語った夢が現実へと近付く一歩になることは、間違いないのだ。と。

何もしなければ、狼少年で終わってしまうわけです。


と、いうわけで。

前置きが長くなりましたが、ちょっとスタートダッシュが出遅れてしまいましたが、今年は私もナルト型の宣言タイプで頑張っていこうと思います!!



メリハリつけて試験勉強!
〇今日は実技の模擬予行を実施!
〇明日は早朝学習にてマニュアルの理解深めて、前回の試験での弱点を正午まで5時間はやる!!
〇夜は復習兼ねて、もう一度実技予行!

…このスケジュールを頭の中だけではなく、ここに宣言しておきます!!
(自己満の極みですが)




ところで。
…今日は、阪神淡路大震災の20年目ですね。
いろんな場所で、追悼イベントやチャリティーイベントが行われています。

20年経っても、体験した人間は毎年意識して迎える日であり、普段忘れがちな防災の意識も少し蘇る日であります。

でも、20年という月日は何かを忘れてしまうには充分な歳月でもあるわけです。

「戦争を知らないこどもたち」と言う言葉で私たちが幼いころ呼ばれたように、今のハタチ以下の関西の子たちも「震災を知らないこどもたち」になるわけですよ。
もうあの年生まれた子供たちも成人なんですよ!
月日が流れるのって、ホント早い…。

だから震災柄みのイベントなどは、あの苦い経験を風化させてしまわないために、とっても意味のあることだと思います。

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